結局のところ、管理職というのはリーダーです。
やはり、何であれリーダーシップというものが管理職には求められます。
管理職として配下をマネジメントする中で、配下に対する接し方に悩む場面は多くあると思いますし、特にコンプライアンスが重視される昨今ですから、何を言うにしても考えさせられるものですから、神経使いますね。
もちろん、その人の性格によりますが、業務上の指示一つであっても言い方や現状(この場合は指示する配下の業務状況)を見て仕事振っても問題ないか、考えます。
こうして見ると、管理職は日常の業務どころか業務中の一言一句、極端に言えば一分一秒であっても気を使っているように思えます。
そりゃ疲れますよね。精神が。
ただ、私が見てきた管理職(私から見て上司や部下問わず)の中で、特に部下とのコミュニケーションに難儀している人を見てみると、よくあるような部下への苛烈な接し方や丸投げといった昨今のコンプライアンスで”パワハラ”などに抵触するような問題というよりも、率直にいって”頼りない””信頼できない”など、リーダーらしくない、という問題が多いと思います。
□今回のポイント
相変わらず人の考え方や発言に影響されやすい私ですが、そんな中でリーダーシップを示す際にすごく参考にしているのがこの方です。
松永安左エ門(1875年~1971年)
主に電力業界において活躍された実業家で、戦後日本の高度経済成長に大きく貢献された方でして、「電力の鬼」とも言われる方です。
戦中、日本の電力は特殊法人である「日本発送電」という、所謂「国家総動員法」に基づいて国の管理下にあり独占状態だったところ、戦後にGHQと交渉し九電力体制※を実現させた人物です。
※北海道、東北、東京、北陸、中部、関西、中国、四国、九州
※現在は1988年に沖縄が加わって「一般電気会社」は10社
こんなケースがありました。
戦後、電力事業の再編に寄与する中(既に70歳を過ぎている)、1951年から3年連続で電気代の大幅な値上げを断行します。
最近でも電気代の値上げなどはニュースにもなりますよね。しかしこの時の値上げ幅は「7割増し」というさすがに最近でも聞かないような大幅値上げでした。
当然ながら反発も多く、一般人だけでなく政治家や経済人など多方面から大反発があり、松永氏の自宅には脅迫状が連日届くような有様でした。
そんな中で松永氏は部下に対し、こう言って断行します。
「民衆が反対しているのは実情を知らないからだ。産業人や政治家が反対しているのは民衆に媚びているからだ。憎まれ役はわしが一切引き受けるから頑張れ」
この結果、増収を悉くインフラ整備に充てた結果、その後に起こる高度経済成長期の礎になり、日本は敗戦の影響を一変させ世界に誇る経済大国に至る訳です。
この姿勢、ちょっと以前にも話た「西門豹」にも似てますよね。
結局のところ、配下というのは上司に対し、頼れるかどうかを見てるように思います。
何というか、仲良くとかやさしいとか色々理想はあるのでしょうが、そもそもそこまで一般社員は上司に対し人間的な関心は強くないのではないか、と思います。
とりわけ昨今は人間関係が希薄というか、深入りしない(色々リスクもありますし)中で人間味とかそういう観点では見ずに、自身が働く環境下でどれだけ不安なく安定して日常を過ごせるか、を求める人が多いように思います。
他方、現在でも居るであろう意欲的な社員であっても、やはり頼れる上司の方がありがたいと思うのではないか、と考えます。
当然ながら、その頼れる存在である事が難しいとは思いますが、まず前提として管理職を務める上での方向性として、如何に前面に立って壁になれるか、目的に対しブレずに突き進む事ができるか、という点が管理職としてのビヘイビアになると思います。