工数の見積

規模にもよりますが、管理職でも手を動かすタスクは頻繁に発生するのではないでしょうか。

色々ありますが、定常タスクであれば自部門の勤怠〆などの人事タスクから、自部門の経費申請や清算などの経理タスクや総務タスクなど、それまでは自分のみで良かったものが配下の分も管理(申請は社員自身でやるでしょうが、ちゃんと〆に合わせてされているかチェック)も重要なタスクと言えます。

また、自分の場合ですが提案書の作成なども結構頻繁に発生していましたね。

営業が基本的にアカウント(この場合は顧客)を担当するものの、日常業務の中で言えばまずは現場担当の間で提案などコミュニケーション図っていきますので、現場の方が基本的にそういった商談に繋がるきっかけは多かったです。

私自身が課長など現場寄りの管理職だった時には基本的に自分で提案書作ってましたし、自身が部長などレイヤー上がっていった後は、それらを課長に指示していました。

最も自分の場合は自分で作ったとしても、課長という管理職に対する指示は、基本的に「あなたがやりなさい」というより「あなたの責任の範疇でやりなさい」という指示です。

なので、その指示を受けた課長が、自分で提案書を作るのか、配下に作らせるのか、それは指示した課長の裁量ですから、その点一つ取ってもマネジメントという訳ですね。

で、当然ですがこういった提出物などミッションを受けた時には、納期を決めます。

この「納期」について、指示された日程で動くのか、自分で納期を決めるのか、というのもミッションコンプリートのし易さに影響すると思います。

大体はいつまでに作ってくれ、という指示を受けて動く感じですね。

その納期を決定するアクション一つ取っても、印象って変わるものでして、指示する側が何も言わないと納期について触れない人もいますし、こちらからいつまでと決めた納期に従う人もいますし、指示する側が「いつまでに提出できるか?」と聞く場合もあります。

こういうケースにおいて最低限のアクションとして、是非自分から「納期はいつですか?」と聞く事が望ましいです。

もちろんミッションによりますが、さすがに提案書の作成一つが数カ月など長期間要するようなものではないですから、納期も具体的な日時で動くものだと思います。

ただ、自分から納期を聞けないケースというのは、そもそもそのミッションを自分自身がいつまでに作れるかわからない・自信が無いから、というのがほとんどだと思います。

なので指示する側が「いつまでに提出できる?」と聞いても沈黙してしまいます。

この辺はマネジメントというか、そもそもタスク管理の観点ではプレイヤーであっても関わる要素ではあるんですが、そこは恐らく慣れていないタスクに対するスタンスなんでしょう。

□今回のポイント

このタスク管理についてですが、例えば提案書を作るというタスクについて、どれだけ自分の中で「工数の見積」を立てられるか、が重要になると考えます。

話変わりますが、私は結構長くあるオンラインゲーム(MMO)をやってまして、それがスクエア・エニックス社が提供している「ファイナルファンタジー14(以下、FF14)」です。

ゲームの中身とかは置いておいて、このタイトルですがリリース後に一度大失敗している作品で、その当時(2010年)には「GameTrailers」の開催した「Game of the Year Awards 2010」の「Most Disappointing Game(もっとも期待はずれだったゲーム)」部門において大賞を受賞するという、大変不名誉な賞を受賞しています。

そんなFF14は同年に開発体制を刷新させ、2013年に再リリースに至るのですが、以降は日本が誇る世界屈指のMMORPGとして君臨するに至ります。

一度失敗したゲームを立て直すだけでなく、一気にトップクラスのタイトルまで発展させるというのは中々聞かない話です(唯一かもしれません)。

なので私自身はゲームプレイヤーであると同時に、FF14のクリエイターの方々についても大変興味を持ったものです。

で、このFF14というプロジェクトの総責任者に就任されたのが、プロデューサー(ゲームの利益などプロジェクト全体の舵取り)とディレクター(ゲーム制作全体の責任者)を兼任している吉田直樹(よしだなおき)という方です。

少なく見ても数十億から百数十億レベルのプロジェクトを立て直した、というのは早々できるレベルではないでしょうから、その手腕にも興味を持った訳です。

SNSもされていない方なので、情報発信は限りある中で吉田直樹氏の数少ない書籍が「吉田の日々赤裸々」という書籍で、元々コラム掲載されていたものです。

そんな中で参考になったのが、

「工数の見積」

というものです。

見積というと金額などでよく使うものですが、工数も見積もるのかー、と思いながら読んでましたが、確かに見積ってそういう事ですよね。

で、その工数を見積もる際には、「タスク分解」によってミッションを細分化していきます。

例えば上述の「提案書作成」であれば、タスク分解して構成するタスク一つ一つに対し、最小値と最大値で工数を見積もる訳です。

その分解されたタスクの最小値の合計=最も短時間で提案書作成できる見込み時間であり、分解されたタスクの最大値の合計=最も長時間で提案書作成できる見込み時間になります。

タスク分解も思っている以上に分解します。

何なら作業するPCの電源を入れる事もタスクとして考えます。これも最小値は普段通り問題なくPCが起動して、例えばPowerPointで作成するならそれも起動する訳で、一方で最大値はたまにPCの不調で起動しなかったり、またはネットワーク不具合とか、過去の経験ベースで良いから起動や業務出来る状態までに時間を要したケースを最大値として見積もります。

こうして最小値と最大値で見積もった工数から、例えば最初のうちは最大値をベースに納期を提示してみる訳です。

仮にですが、提案書作成の工数見積において最小値が10時間、最大値が30時間だったとします。では最大値の30時間を1日の勤務時間(基本は8時間)から作業時間に割り当てられる予定を考慮して、それが仮に1日平均4時間だった場合には、9営業日かかる想定です。

なのでこの場合は9営業日後を納期として打診できると思います。

一方で納期を指定された場合、それが上記見積から見ると難しいとなった際には、具体的にスケジュール相談できるのではないかと思います。

(例として、「〇日までのタスクが別途あるので、難しいかもしれません。もしこちらの時間を割ければ指定された納期までに完成の見込みはあります。優先順位としてどちら優先すべきですか?」など具体的に相談できると思います)

これから始めたり、初めてのタスクだったりすると、見積の精度もまだまだでしょうから、見込がズレる事もあると思います。

ただ、それを日々繰り返していく事によって、その感覚も洗練されていき精度も向上していくと思います。

何にせよ、やはり日々の業務というのは、何であれ可能な限り定量化する事が重要かなと考えます。

工数も定性的な思考ではなく、定量化していく事でスケジュール管理もしやすくなりますし、仮に見込が外れたのであれば予実管理によってその差分は何故発生したか振り返り改善策を立てて実行する事で精度も向上するでしょう。

こうした思考に至るために、業務に限らずプライベートなど日常でも試しにやってみれば良いと思いますし、それ自体が良いトレーニングになると思います。




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